インドのゴア

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 2011年 3月1日

この日は、雲ひとつない快晴で、我が家の一人息子の高校の卒業式だった。

無事、卒業証書を受け取り、息子友達の溜まり場だった我が家は、卒業生達で最高の盛り上がりだった。

 

その10日後の3月11日、午後2時46分

大地が大きく揺れた、、しかもド級の揺れだ、、

 

我が家は海沿いにあった、、

僕は家族を車に乗せ、高台に向かってアクセルを踏み続けた、、

 

信じられない高さの波が、家々を飲み込んでいくのが、バックミラーに映った、、

 

多くの友人、知人達が一瞬にして逝った、、、、

 

幸いにも、我々家族は無事だった、、、

 

 

 

数ヶ月経ち、興奮も少し和らいだある日の事だ、

息子が突然、僕に言ってきた

 

「ゴアに行ってみてぇなぁ〜」

 

『え?ゴアって何処?』

 

「インド、、」

 

『何故にゴア?』

 

「トランスミュージックの聖地らしい、、」

 

高校時代、音楽にハマってた息子にとって、ゴアは憧れの地だったのだ。

 

 

早速、チケットを予約し、

一週間後に息子と僕は「エアインディア」のエコノミーシートに座っていた。

 

昔から旅をするのが好きだったので、いろんな国に行ったが、僕にとってインドは初めてだった。

 

真夜中にニューデリーに到着。

1ヶ月半の、フリーな旅が始まったのである。

 

宿の予約もしなかったので、先ずは宿探し。

右も左もわからない13億人の国、片言の英語での宿探しは困難を極めた、、

汗だくのシャツを脱ぎ、シャワーを浴び、ベッドに横になれたのは、明け方だった。

 

インドの首都である、ニューデリーに数日間滞在し、1000km先にある

アラビア海に面するゴアに向かった。

 

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ゴアに到着したと同時に聴こえてきたのは、ゴアトランスミュージックだった。

朝から晩まで、街中、ビーチ、住宅街、至る所で、爆音で流れていた、、

 

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たまたま泊まったゲストハウス、そこがゴアで一番古い宿だと知ったのは、だいぶ後のことだった、、

70年以上の歴史を持つその宿の親父さんは、3代目らしく、

昔は、ジョンレノン、ジャニス、サンタナ達も泊まったとのことで、

自慢げに、その時の写真を見せびらかしていた。

 

1960年頃、ヒッピー達が世界中からゴアに集まり、酒とドラッグと音楽で大盛況だったのだ。

 

 

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その宿に泊まって3日目のことだ、

「あそこのゲストハウスに、フクシマから来たジャパニーズが泊まってるらしいぞ!」

という噂を聞いた人達が、多数押し寄せて来たのである。

 

インド人もいれば、フランス人、カザフスタン人、ロシア人、イタリア人もいれば、アルゼンチン人もいた。

いろんな国籍の人達が僕たちの部屋の前にある中庭に集まったのである。

 

みんなが知りたいのは、

「フクシマは大丈夫なのか?」

「現在は、どんな感じなのか?」

「人々は暮らしてるのか?」

「まだ、漏れてるのか?」

「いつ頃、終決するのか?」

 

同じ地球で起きた大惨事

彼らは、日本人以上に、原発事故のことを我が身のように、心配していたのだった、、

 

その頃、日本のテレビでは、

「ただちに人体に影響ない!!」でした、、、、、

 

そんなある日、ゴアに暮らしている、インド人のおばあちゃんが僕に質問してきた、

「あんたは中国人か?」

 

『いいえ違います、日本人です。JAPANです』

 

「JAPAN?、そんな国は知らん!」

 

『JAPANのフクシマから来ました』

 

「あんたフクシマ人か!大変だったのぉ〜」

 

そのおばあちゃんは、JAPANっていう国は知らないけど、フクシマという国は知ってました。

 

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宿の親父さんが僕に言った

「70年も宿をやっていると、全世界から、いろんな客が来る。変な奴もいれば、いい奴もいる。

今では、言葉を話さなくても、一目見れば、何人なのか一瞬でわかるようになった。

あんた達も、直ぐに日本人だとわかった、、」

 

『韓国人、中国人だと思わなかったの?』

 

「バカ言え、思うもんか!大阪人と東京人の違いもわかる!」

 

「196ヵ国、すべて見ただけで、何処の国から来たかわかる。しかも一瞬でな!」

 

「国ごとに、それぞれ気質の違いがあるんだ!その気質の違いも誰よりもわかってる。」

 

「196カ国の中で、ずば抜けて素晴らしい気質を持った国が1つあるんだ!」

 

『え?どこの国?』

 

「JAPANだ!!!」

 

「日本人の礼儀正しさ、感謝の心、清潔感、正直者、思いやりは、196ヵ国中、ダントツだ!」

 

「わしは一度だけ海外旅行をした事がある。どうしてもこの目で日本を見たくて、若い頃に日本を旅した。」

 

「どのような環境で育つと、日本人のような気質になるのか?を、確認したかったんだ。」

 

「その旅で、2つだけ勉強になった事がある」

 

「誰も見てなくても、お天道様は見てる。」

 

「水に流す、、」

 

「この2つは、その後の、わしの人生を大きく変えたのじゃ」

 

親父さんは、毎朝僕たちの部屋の前でニコニコしながら、僕たちが起きてくるのをブランコで待っていたのだ。

日本人が大好きでたまらないらしい、、

 

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白シャツの男性が、その親父さんだ!

 

 

「日本は昔、外国を侵略した卑怯な国だ!」

我々は、そう教育されてきた、、、

 

「だから、世界中の人は日本人を嫌いに決まってる!」

 

その考えを大きく、くつがえしてくれた親父さんだった、、、、

 

きっと親父さんみたいに、日本人を、大好きでたまらない人が世界には沢山いるんだろうなとも、思えた瞬間だった、、、

 

日本人としての誇りさえ感じてしまったのだ、、

 

ありがとう、親父さん。

 

https://youtu.be/WiGJdLjX42A?si=vl3DyoUb8iGxgdnU

 

 

 

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毎日、何を食べてたかって?

 

毎日カレーを食べてました。

 

飽きないのかって?

 

飽きないどころか、毎回、おかわりでしたよ!

 

アラビア海に沈む夕日を見ながらの、南インドカレーは格別でしたよ、、

 

 

 

そんな感じで、あっという間の1ヶ月半でした。

その後、家族で福島から、種子島に移住し、当時18歳だった息子も28歳になり、有機農業の勉強を朝4時からやってます。

 

あれから10年か、、、、

昨日のようにも思えるし、ずっと昔のようにも思えます。

 

3.11以降、時間の感覚が狂いました。

今も狂ったまんまです。

 

狂ったまんまなので、都会では暮らせませんです。ですです、、

 

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18歳の息子と、18歳の美少女

 

 

 

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首にタトゥーを入れてもらってる息子である。

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完成!

 

 

今回は、10年前に息子と行った、インド、ゴアの旅のお話でした。

 

チョビという犬を飼ってたので、奥様には、お留守番をしていただきました。

ちゃんと、お土産はドッサリ買ってきましたよ!

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愛犬チョビ

 

 

今度は、奥様と2人で行った、スリランカのジャングルの旅のお話をします、、

 

お楽しみにね。

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再びニューデリーに戻り、インドのラストナイト!